
コミュニケーション業務
ビジネスの現場では、「何を言うか」と同じくらい「どう伝えるか」が重要です。
メール、チャット、会議、1on1、クレーム対応など、毎日行っているコミュニケーションは、仕事の成果や信頼関係に直結します。
一方で、
- 言い回しに悩んで時間がかかる
- 怒っている相手への返信文がなかなか書けない
- フィードバック文がうまくまとめられない
といった悩みも多い領域です。
生成AIは、こうした「コミュニケーションの文面づくり」や「伝え方の整理」を手伝うのが得意です。
あくまで最終判断と送信ボタンを押すのは人間ですが、その前の「案出し」「言い回しの調整」にAIを活用することで、スピードと品質を両立できます。
① メール・チャット文面作成
日程調整、依頼、報告、お詫びなど、メールやチャットの文面はパターンが多く、毎回ゼロから考えると時間がかかります。
生成AIに「相手・目的・トーン」を伝えることで、たたき台を素早く作れます。
プロンプト例
依頼メールの文面作成
あなたは〇〇株式会社の営業担当です。
以下の条件をもとに、社内の開発部門に対して「新機能の簡易デモ環境作成」を依頼するメール文を作成してください。
・宛先:開発部 部長と担当者
・目的:来月の顧客向け提案で使うデモ環境を準備してもらいたい
・伝えたい内容:機能の概要、デモで見せたいポイント、希望納期(〇月〇日)、テストに必要なデータ量
・トーン:社内のため丁寧だが、堅くなりすぎない
件名と本文をセットで作成してください。
[ここに機能概要や提案内容のメモを貼り付け]
社外向けお礼メールの作成
あなたは〇〇株式会社のカスタマーサクセス担当です。
昨日オンラインミーティングに参加してくれた取引先担当者A様に対して、
・お礼
・打ち合わせで決まったことの簡単な振り返り
・次回までの宿題(こちら側・先方側)
を整理したお礼メールを作成してください。
ビジネス敬語を使いながらも、少し柔らかい印象になるようにしてください。
[ここに打ち合わせメモの要点を貼り付け]
チャットでの短い連絡文の作成
あなたは〇〇株式会社のプロジェクトメンバーです。
チームチャットで、
「本日の打ち合わせ資料を更新したので、開始30分前までに目を通してほしい」
という内容を、カジュアルすぎず、ビジネスとして適切なトーンで短く伝える文章を3パターン作成してください。
絵文字は使っても使わなくても良いので、使う/使わないの両方の例を含めてください。
② 会議・1on1の準備(アジェンダ・話す内容の整理)
コミュニケーションの質は、「始まる前の準備」で大きく変わります。
生成AIに「目的」と「参加者」を伝えることで、アジェンダや質問リストを一緒に組み立てられます。
プロンプト例
チームミーティングのアジェンダ作成
あなたは〇〇株式会社のチームリーダーです。
来週の「月次定例ミーティング」(60分)のアジェンダ案を作成してください。
目的は、
・今月の数字と進捗の共有
・各メンバーの課題・成功事例の共有
・来月に向けた重点施策の確認
です。
アジェンダには、
・各議題のタイトル
・担当者
・目安時間
・期待するアウトプット(例:決定事項/論点整理 など)
を含めてください。
1on1の質問リスト作成
あなたはマネージャーです。
メンバーBさん(入社2年目)の1on1(30分)を行うにあたり、話す内容を整理したいと考えています。
以下の情報を前提に、1on1で使える質問リストを10個程度作成してください。
・最近、担当プロジェクトが増えて忙しそう
・本人はスキルアップ意欲が高い
・中長期のキャリアについてはまだ明確でない
質問は、
「現状の振り返り」「今の悩み・困りごと」「成長・キャリア」の3つのカテゴリに分けてください。
社内調整ミーティングの論点整理
あなたはプロジェクトマネージャーです。
来週予定している「営業部と開発部の調整ミーティング」に向けて、話し合うべき論点を整理してください。
以下の情報をもとに、
・決めるべきこと
・事前に共有しておくべき情報
・対立しそうなポイントと、その際の落としどころ候補
を箇条書きでまとめてください。
[ここに案件の概要・対立しているポイントなどを貼り付け]
③ フィードバック・評価コメント作成
メンバーへのフィードバックや評価コメントは、「伝え方」が難しい業務の代表例です。
生成AIを使うと、「事実」と「評価」と「期待する行動」を整理する手助けになります。
プロンプト例
メンバーへのポジティブフィードバック文の作成
あなたはチームリーダーです。
以下の事実をもとに、メンバーCさんに送るポジティブフィードバックメッセージを作成してください。
・先月から新規プロジェクトの進行管理を担当
・タスクの抜け漏れが少なく、関係者への共有も丁寧
・クライアントからも「説明が分かりやすい」と評価されている
メッセージには、
・具体的な行動のどこが良かったか
・チームにどんな良い影響があったか
・今後さらに期待していること
を含め、チャットで送れる程度の長さで作成してください。
改善フィードバック(ネガティブになりすぎない表現)
あなたはマネージャーです。
以下の状況をもとに、メンバーDさんに伝える「改善フィードバック案」を作成してください。
・期限ギリギリでの納品が続いている
・品質は悪くないが、周囲がフォローに入る場面が多い
・本人は真面目で前向きに取り組んでいる文章の条件:
・人格否定にならないよう、「事実」と「行動」に焦点を当てる
・改善の方向性を一緒に考える前向きなトーンにする
・次回から具体的に何を変えればいいかがイメージできるようにする
評価シートのコメント下書き
あなたは上司として、半期評価シートのコメント欄を記入しています。
以下のメンバーEさんの実績メモをもとに、「総合評価コメント」の下書きを作成してください。
コメントには、
・半期を通じて特に評価している点(具体例付き)
・今後さらに期待したい成長ポイント
・本人へのねぎらいの言葉
を含め、400〜600文字程度で作成してください。
[ここにEさんの実績メモを貼り付け]
④ クレーム・難しいコミュニケーションへの対応
クレーム対応や、感情が高ぶった相手への返信は、精神的な負担が大きい業務です。
生成AIに「相手の状況」「こちらの非の有無」「伝えたい方針」を伝えることで、落ち着いた文章案を作るサポートを受けられます。
プロンプト例
クレームメールへの一次返信案
あなたは〇〇株式会社カスタマーサポート部の担当です。
以下は、お客様から届いたクレームメールの内容です。
この内容をもとに、一次返信メールの文面案を作成してください。
条件は以下の通りです。
・まずは不快な思いをさせてしまったことへのお詫びを優先する
・事実関係の確認が必要なため、すぐに結論は出せないことを丁寧に伝える
・いつまでに、どのような形で改めて連絡するかを明示する
・防御的・感情的な表現にならないよう注意する
[ここにクレームメールの内容を貼り付け]
納期遅延のお詫びメール
あなたは〇〇株式会社のプロジェクトマネージャーです。
クライアントへの納品が、当初予定より1週間遅れてしまうことが分かりました。
以下の条件にもとづき、お詫びと状況説明のメール文を作成してください。
・遅延の主な理由:想定以上の仕様変更とテスト工数の増加
・クライアントとの関係:継続的な取引がある重要顧客
・こちら側の対応:遅延を最小限にするための追加リソース投入、代替案の提案など
メールには、
「謝罪」「理由の説明(言い訳にならない範囲で)」「今後の対応」「同様の事態を防ぐための再発防止策」
を含めてください。
社内の意見対立を調整するメッセージ案
あなたはプロジェクトのリーダーです。
営業部と開発部の間で、ある機能の優先順位をめぐって意見が対立しています。
以下の情報をもとに、両方の部門メンバーに送る「調整用メッセージ案」を作成してください。
・どちらの意見も一理あり、どちらかを一方的に否定はしたくない
・まずは事実と制約条件を共有したうえで、落としどころを一緒に探したい
・感情的な対立にならないよう、冷静なトーンで
メッセージには、
・状況整理
・双方の主張の要点
・今後の進め方(いつ・誰と・どう議論するか)
を含めてください。
コミュニケーション業務における安全な活用のポイント
- 最終的に送る文面は必ず自分の言葉で確認する
AIが作った文章は、そのままだと自分らしさや会社の文化に合わない場合があります。必ず一度声に出して読んでみて、「自分が本当にこう言いたいか?」を確認しましょう。 - 相手や社名などの固有情報の誤りに注意する
相手の名前・会社名・役職・日時などに誤りがあると、信頼を損ないます。AIが生成した文面でも、固有名詞と数字周りは必ず自分でチェックしましょう。 - 感情の温度感を自分で調整する
お詫びやクレーム対応では、「謝りすぎ」「そっけなさすぎ」など、トーンがずれることがあります。自社のスタンスや相手との関係性に合わせて、文末表現や強さを調整してください。 - 機密性の高い内容は書きすぎない
契約条件、内部事情、他社の情報など、外部に出すべきでない情報を含んだままAIに投げないよう、内容を要約・抽象化してから利用する習慣をつけましょう。 - 自分の「伝えたいこと」を先に決めてから使う
先にAIに全部考えてもらおうとすると、メッセージがぶれてしまいます。
「相手に何を伝えたいか」「どう感じてほしいか」を先にメモしてから、AIに文面化を手伝ってもらうと、ズレが少なくなります。
問題
問題1 チーム内共有メールの作成
あなたは〇〇株式会社のプロジェクトリーダーです。
担当プロジェクトに関して、以下のような状況になっています。
- 今月の進捗がやや遅れ気味
- チームメンバーは全員頑張っているが、タスクの優先順位がバラバラ
- 来週から「重要タスクを優先する体制」に切り替えたい
この状況を踏まえ、チーム全員に向けて
- 現状の共有
- メンバーへの感謝
- 来週からの進め方(重要タスクを優先する方針)
- 協力のお願い
を伝えるメール文を、生成AIに作成させたいと考えています。
上記の条件を踏まえ、生成AIに指示するためのプロンプトを作成してください。
解答プロンプト例
あなたは〇〇株式会社のプロジェクトリーダーです。
以下の状況を踏まえて、プロジェクトメンバー全員に送るチーム内共有メールの文面を作成してください。【状況】
・今月の進捗が想定より遅れ気味
・メンバーはそれぞれ責任感を持って取り組んでおり、頑張ってくれている
・ただし、タスクの優先順位がバラバラで、本来優先すべきタスクへの集中度がやや不足している
・来週から「重要タスクを優先する体制」に切り替えたいと考えている【メールに含めたい要素】
・まずは、ここまでのメンバーの頑張りへの感謝
・現状の進捗状況を率直に共有
・来週からの「重要タスク優先」の方針と、その具体的なイメージ
・メンバーへの協力依頼(不安や疑問点があれば遠慮なく相談してほしい旨も含める)トーンは、メンバーを責めるのではなく、「一緒に立て直していこう」という前向きな雰囲気にしてください。
件名と本文をセットで作成してください。
生成AIの回答例
件名案
- 【共有】来週以降のプロジェクトの進め方について
- 【重要】今月の振り返りと来週からの進行体制について
本文例
- みなさん、いつもプロジェクト対応ありがとうございます。
- まずは、この1ヶ月間、それぞれのタスクを責任を持って進めてくれていることに感謝しています。特に、急な仕様変更や追加対応が続く中でも、柔軟に対応してくれている点をとても心強く感じています。
- 一方で、全体の進捗をあらためて整理すると、当初の計画よりもやや遅れ気味になっている状況です。原因の一つとして、タスクの優先順位がメンバーごとにバラついており、本来もっと時間を割きたい重要タスクに十分な工数を割けていないことが見えてきました。
- そこで来週からは、「重要タスクを優先する体制」に切り替えたいと考えています。具体的には、
- 週のはじめに、全員で「今週必ず終わらせるべきタスク」を3つまでに絞る
- それ以外のタスクは、優先度B・Cとして整理し、時間が許す範囲で着手する
- 途中で優先度が変わりそうな場合は、その都度チャットで共有する
といった形をイメージしています。
- 詳細は、来週月曜の定例ミーティングで改めて相談したいと思いますが、まずは方向性だけ共有させてください。
- なにか不安な点や、「このタスクはどう扱えばいいか」などの疑問があれば、遠慮なく私までメッセージをください。一人ひとりが無理をしすぎず、チームとして最適な動き方を一緒に考えていければと思っています。
- 引き続き、よろしくお願いします。
問題2 クレーム対応メールの草案作成
あなたは〇〇株式会社のカスタマーサポート担当です。
次のようなクレームが、法人顧客からメールで届きました。
- 契約プランに含まれているはずの機能が、先週から利用できない状態が続いている
- サポートへの問い合わせ返信が遅く、不信感を持たれている
- 「このままだと解約も検討せざるを得ない」と強い口調で書かれている
この状況に対して、一次返信メールの文面案を生成AIに作成させたいと考えています。
生成AIに指示するためのプロンプトを作成してください。
特に以下の要素を含めてください。
- 不快な思いをさせてしまったことへのお詫び
- 機能が使えない状況を重く受け止めていること
- 事実確認・復旧対応の進め方
- 今後の連絡方法と、おおよその目安時間
解答プロンプト例
解答プロンプト例
あなたは〇〇株式会社カスタマーサポート部の担当者です。
法人顧客から以下の内容のクレームメールを受け取りました。
・契約プランに含まれているはずの機能が、先週から利用できない状態が続いている
・サポートへの問い合わせ返信が遅く、不信感を持たれている
・「このままだと解約も検討せざるを得ない」と強い口調で書かれているこの状況を踏まえ、一次返信メールの文面案を作成してください。
メールには、必ず次の要素を含めてください。
- 不快な思い・ご不便をおかけしていることへのお詫び
- 機能が使えない状況を重く受け止めていることの表明
- 今後の対応方針(事実確認・原因調査・復旧対応の流れ)
- いつまでに、どのような形で進捗・結果を連絡するか(目安時間)
トーンは、相手の感情を受け止めつつも、冷静で誠実なビジネスメールとしてください。
こちらの責任を認めるべき部分と、確認が必要な部分の区別が曖昧にならないようにしてください。
件名と本文をセットで作成してください。
生成AIの回答例
件名案
- 【お詫び】機能不具合およびサポート対応遅延について
- 機能ご利用不具合に関するお詫びと今後の対応について
本文例
- 〇〇株式会社
〇〇部 〇〇様 - いつも大変お世話になっております。〇〇株式会社カスタマーサポートの△△です。
- このたびは、当社サービスの機能がご利用いただけない状態が続いていることに加え、サポートからのご連絡が遅れたことで、大変なご不便とご不快な思いをおかけしておりますこと、心よりお詫び申し上げます。
- 契約プランに含まれている機能が利用できない状況は、お客様の業務に直接的な影響を及ぼしかねない重大な事象であり、当社としても重く受け止めております。
- 現時点では、当該機能に関連するシステムの一部で不具合が発生している可能性が高いと見ており、開発チームと連携して原因の特定と復旧作業を最優先で進めております。
- 本日中に、
- 現在判明している事象の整理
- 想定される原因の候補
- 復旧までのおおよその見通し
について、あらためてメールにてご報告させていただきます。遅くとも〇月〇日〇時までには、一度進捗をご連絡いたします。
- また、今回のサポート対応の遅れにつきましても、社内の対応フローをあらためて見直し、今後同様のことが起こらないよう改善を進めてまいります。
- ご不明点や追加で共有いただける情報がございましたら、本メールへのご返信、もしくは担当の△△宛てにご連絡いただけますと幸いです。
- このたびはご迷惑をおかけしておりますことを、重ねてお詫び申し上げます。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。