プロンプトテクニック

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プロンプトテクニック

生成AIの「プロンプト基本4層構造」で、私たちはプロンプトを構成する重要な要素を学びました。
ただ、実際に生成AIを自在に使いこなすためには、もう一歩踏み込んだ「テクニック」が必要になります。

ここで紹介するテクニックは、AIの応答をより細かくコントロールし、「なんとなく出してもらう」レベルから、「期待以上のアウトプットを引き出す」レベルへ引き上げるためのものです。

ここからは、日常業務やビジネス、個人の学習・発信など、さまざまな場面で役立つ実践的なプロンプトのテクニックと、その具体例を紹介します。
これらを組み合わせて使うことで、AIを単なる「便利なツール」ではなく、「意図通りに動いてくれる心強いアシスタント」として活用できるようになります。

1. 明確性と具体性の追求:AIの誤解をなくす

AIは、人間のように「空気を読んでくれる」わけではありません。
あいまいな指示は、そのままあいまいな結果や、ピントのずれた回答につながります。だからこそ、できるだけ明確で具体的な指示を心がけることが大切です。

悪い例

「ホームページを良くして。」

良い例

「自社サイトの『よくある質問(FAQ)』ページを、スマホから見ても読みやすく、初心者にも分かりやすい文章になるように改善案を出してください。」
「自社サイトのトップページに、来月開催するオンラインセミナーの情報が目立つようにするための改善案を3つ提案してください。」

ポイント
・誰が、何を、いつ、どこで、どのように、なぜ(5W1H)を意識して書く
・「とりあえず良くして」ではなく、「どこを」「どんな人向けに」「どう変えたいか」まで伝える

5W1Hを意識すると、AIはあなたの意図をより正確に汲み取りやすくなります。

2. 役割(ペルソナ)の徹底活用:AIの「なりきり力」を引き出す

AIに特定の役割(ペルソナ)を与えると、その専門性や視点を取り入れた回答をしてくれます。
これは、「プロンプト基本4層構造」の第2層をより深く活用するテクニックです。

「あなたはSNSマーケティングに詳しい若手マーケターです。
20代向けに、地元の魅力を伝えるInstagram投稿文を作成してください。カジュアルで、思わずシェアしたくなるような表現を意識してください。」

「あなたは経験豊富な防災コンサルタントです。
ゲリラ豪雨が発生したときに、地域の人に送る注意喚起メッセージを考えてください。専門用語は避けつつ、危機感は伝わるがパニックを煽りすぎないトーンでお願いします。」

ポイント
・役割はできるだけ具体的に
・職業だけでなく、「年齢層」「経験年数」「対象とする相手」なども足すと、より狙い通りのトーンになりやすい

3. 具体例(Few-shot prompting)の提示:AIに「見本」を見せる

AIに「こんな感じで出してほしい」という具体例をいくつか見せると、そのパターンをまねしながら出力してくれるようになります。
特定のフォーマットや言い回しでそろえたいときに、とても有効です。

「以下に示すFAQの形式に従って、新しいサブスクサービスに関するQ&Aを作成してください。

[例]
Q1: 無料期間はどれくらいですか?
A1: 初回登録から30日間は無料でご利用いただけます。無料期間終了の3日前にメールでお知らせします。

Q2: 途中で解約することはできますか?
A2: はい、マイページからいつでも解約が可能です。解約手続きが完了した日以降の料金は発生しません。
(ここに新サービスの説明や利用規約の要点を記載)」

このように「例」を見せてから「同じ形式で新しい内容を作って」と指示すると、かなり狙い通りの形に近づきます。

4. 制約条件の多角的な指定:AIの「自由」をほどよく制限する

制約条件をうまく使うことで、AIの出力を細かくコントロールできます。
「プロンプト基本4層構造」の第3層を、さらに多面的に使いこなすイメージです。

出力形式の指定

・箇条書きで3点にまとめてください。
・Markdown形式の表で作成してください。
・A4用紙1枚分くらいの分量で書いてください(目安1000字程度)。
・500字以上1000字以内で記述してください。

トーンとスタイルの指定

・です・ます調で、堅苦しすぎず、丁寧な口調で書いてください。
・専門家向けに、客観的で落ち着いたトーンで記述してください。
・急いでいる人にも伝わるように、簡潔でメリハリのある表現にしてください。

含めるべき内容 / 除外すべき内容

・必ず、問い合わせ先メールアドレスとURLを含めてください。
・特定の会社名や政治的な内容には触れないでください。
・難しい専門用語は極力使わず、使う場合はかならず簡単な言葉で補足してください。

「あなたは企業の広報担当者です。高齢者向けのサポートサービスに関する案内文の下書きを作成してください。
A4用紙2ページ分程度(約1500字)で、です・ます調、親しみやすい口調で記述してください。サービスの内容、利用方法、申込窓口、相談先の電話番号を必ず含めてください。特に、高齢者にとってのメリットを3つ強調してください。」

ポイント
・複数の条件を組み合わせると精度が上がる
・ただし、矛盾した条件(「短く、かつ詳しく」など)を入れすぎるとAIが迷うので注意

5. チェーンプロンプティング:段階的な指示で複雑なタスクをこなす

一つのプロンプトで「全部まとめてお願い!」とするのではなく、タスクを段階に分けて指示する方法です。
これにより、複雑な仕事も「分解 → 設計 → 作成」という流れで、AIと一緒に組み立てることができます。

例(オンライン講座の資料作成の場合)

プロンプト1(全体構成の依頼)

「あなたはオンライン講座の企画担当者です。初心者向けの『生成AI入門講座』のカリキュラム構成案を作成してください。対象は社会人初心者で、全3時間の講座を想定してください。導入、基礎知識、実践ワーク、質疑応答などのセクションを含めてください。」

プロンプト2(特定セクションの深掘り)

「ありがとうございます。次に、上記カリキュラムの『実践ワーク』セクションについて、詳細な内容案を作成してください。具体的なワーク内容と、その目的をセットで5つ提案してください。」

プロンプト3(具体的なテキストの生成)

「では、『実践ワーク1:プロフィール文をAIで作ってみる』について、受講者向けの説明文と手順書を作成してください。ステップごとに箇条書きで分かりやすく記載してください。」

ポイント
・一気に全部やらせず、「構成」「詳細設計」「原稿作成」と分けるとクオリティが上がりやすい
・途中でこちらが修正や指示を挟めるので、「ズレたまま大量に出力される」という失敗を減らせる

6. ネガティブプロンプティング(除外指示):やってほしくないことも伝える

「こうしてほしい」だけでなく、「これはしないで」とはっきり伝えることで、余計な出力や望ましくない表現を減らせます。

・「この商品の紹介文を作成してください。ただし、専門用語は一切使用しないでください。」
・「この文章を要約してください。個人的な感想や評価は入れず、事実だけを簡潔にまとめてください。」
・「明るいカフェのイメージ画像を描写するプロンプトを作成してください。ただし、人の顔は登場させないでください。」

ポイント
・避けたい表現(差別的表現、不安を必要以上に煽る表現など)をあらかじめ指定しておくと安心
・ブログやSNSなど、公開される文章では特に有効

7. 自己修正・推敲の指示:AIに「自分の文章を直させる」

AIに一度文章を書かせたあと、その文章をAI自身にチェック・改善させる方法です。
「下書き → 添削 → 清書」をAIだけで回すイメージです。

プロンプト1
「生成AI活用セミナーの案内文の下書きを作成してください。対象は初心者の社会人です。」

プロンプト2
「今出力された案内文について、分かりにくい部分や、情報が不足している部分を指摘してください。」

プロンプト3
「あなた自身が指摘した改善点を反映して、案内文をより分かりやすく、魅力的な内容に書き直してください。」

ポイント
・AIに「批評家」「編集者」としての役割を与える
・自分では気づきにくい論理の飛躍や重複表現を、AIに洗い出してもらえる

8. 温度感と感情の調整:伝えたい「雰囲気」をコントロールする

AIには感情はありませんが、プロンプト次第で文章の「温度感」や「雰囲気」をかなり調整できます。
読み手の気持ちにどう働きかけたいのかを意識して指示すると、ぐっと伝わりやすくなります。

・「お客様への感謝を伝えるメッセージを作成してください。温かく、誠実さが伝わるトーンでお願いします。」
・「トラブル発生時のお詫びメール文を作成してください。誠実で、責任をもって対応していることが伝わるようにしてください。」
・「子育て中の人を応援するメッセージを作成してください。前向きで、希望が持てる言葉を選んでください。」

ポイント
・「温かい」「誠実」「冷静」「緊張感のある」「フランク」など、トーンのキーワードを明示する
・イベント告知や謝罪文、応援メッセージなど、感情面が重要な場面で特に効果的

9. 出力の形式指定:後処理しやすい形で受け取る

「そのまま表に貼りたい」「システムに読み込ませたい」など、後続の作業まで見据えて、形式を指定するのも有効です。

・「以下の情報を元に、CSV形式で出力してください。ヘッダー行を含め、カンマ区切りでお願いします。」
・「オンライン講座一覧をJSON形式で出力してください。各講座には『タイトル』『対象者』『時間』『概要』の項目を含めてください。」
・「この会議の議事録をMarkdown形式で要約してください。大見出し→中見出し→箇条書きの構造にしてください。」

ポイント
・整った形式で出力させると、Excelやスプレッドシート、他のツールへの連携がスムーズ
・「あとで整形する手間」をAI側にやってもらうイメージ

まとめ:プロンプトは「AIとの共同創作」のプロセス

ここまで紹介してきたプロンプトのテクニックは、AIを「ただの便利な検索ツール」から、「一緒に考え、一緒に作るパートナー」に変えていくためのものです。

・あいまいな指示を減らし、明確で具体的に伝える
・役割やトーン、形式、条件を細かくコントロールする
・段階的に依頼し、例を見せ、修正や推敲もAIに任せる

こうした工夫を重ねることで、AIのアウトプットの質は確実に変わっていきます。

ただし、どれだけテクニックを使っても、AIは「こちらが与えた情報」以上のことは分かりません。
正確な情報を渡すこと、そして最終的なチェックや判断は必ず人間が行うことが大前提です。

ぜひ、ここで紹介したテクニックを実際に試しながら、少しずつ自分なりのプロンプトスタイルを育ててみてください。
AIとの対話を重ねるほど、「こう書けば、こう返ってくる」という感覚がつかめてきて、あなたにとっての“最強のアシスタント”へと育っていきます。

【動画】AIプロンプト習得ガイド

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