プロンプト基本4層構造

目次

プロンプトの「基本4層構造」を知ろう

前の章で、プロンプトが生成AIを動かすための「ことば」であり、その重要性について触れました。
AIは、こちらがどんな指示(プロンプト)を出すかによって、結果が大きく変わります。

では、どうすればAIに「もっと正確に」「もっと効率よく」「自分の意図通り」に動いてもらえるのでしょうか?
そのカギになるのが、「プロンプトの基本4層構造」という考え方です。

この4層構造は、プロンプトを構成する要素を整理し、AIが私たちの依頼を段階的・網羅的に理解しやすくするためのフレームワークです。
たとえるなら、複雑な料理を作るときに「何を作るか → 材料 → レシピ → 盛り付け」と順番に考えるようなものです。

この構造を意識することで、初心者の方でも、より質の高いプロンプトを作れるようになります。

1. 第1層:タスク(目的)の明確化 – 「何をしてほしいのか」

一番の土台になるのが「タスク」、つまりAIに何をしてほしいのかをはっきりさせることです。
ここが曖昧だと、AIもどの方向に進めばいいか分からず、ピントのずれた回答になりやすくなります。

ポイント

・具体的な動詞を使う
「要約してください」「作成してください」「分析してください」「比較してください」「アイデアを出してください」など、AIにしてほしい行動を明確な動詞で書きます。
・タスクの範囲を限定する
「何について」作業するのか、主題をはっきりさせます。

プロンプト例

・「自社の顧客アンケート結果を要約してください。」
・「Instagram投稿用の、春のセールを告知する文章を作成してください。」
・「副業を始めたい人向けに、おすすめの職種とその理由を3つ挙げてください。」
・「はじめて生成AIを学ぶ人向けの入門セミナーのタイトル案を10個出してください。」

2. 第2層:役割(ペルソナ)の設定 – 「誰として話してほしいのか」

次に大事なのが、AIに「役割(ペルソナ)」を与えることです。
どんな立場・職業の人として答えてほしいかを指定すると、その役割に合ったトーンや視点で答えてくれるようになります。

AIは「あなたは〇〇です」と指示することで、その人物になりきって答えようとします。
専門家や先生、マーケター、カウンセラーなど、イメージに合う役割を設定すると効果的です。

ポイント

・具体的な役割を与える
「あなたは〇〇です」「〇〇の専門家として」など、はっきり書きます。
・その役割の特性を意識する
例えば「Webライター」なら読みやすい文章、「エンジニア」なら技術的に正確な説明が期待されます。

プロンプト例

・「あなたはプロのWebライターです。副業を始めたい人向けに、ブログ記事の導入文を書いてください。」
・「あなたは経験豊富なキャリアコーチです。30代で転職を考えている人向けに、最初の一歩としてやるべきことを3つ教えてください。」
・「あなたはカスタマーサポート担当者です。新しく導入したオンラインサービスの使い方をQ&A形式で説明してください。」
・「あなたは弁護士です。この利用規約におけるユーザー側のリスクを分かりやすく説明してください。」

3. 第3層:制約条件の設定 – 「どのようにアウトプットしてほしいのか」

3つ目の層では、どんな形で出力してほしいかという「条件」を指定します。
形式・文字数・トーン・含めたい要素・避けてほしいことなどを具体的に伝えるほど、理想のアウトプットに近づきます。

ポイント

・出力形式の指定
「箇条書きで」「表形式で」「ステップごとに」「会話形式で」など。
・長さの指定
「200文字以内で」「A4一枚分(約1000字)で」「3行以内で」など。
・トーン・スタイルの指定
「です・ます調で」「フランクな口調で」「ビジネス向けの丁寧な文体で」「専門用語を減らして」など。
・含めるべき内容
「必ずメリットとデメリットを両方書いてください」「例を2つ入れてください」など。
・除外すべき内容
「専門用語は使わないでください」「難しい数式の説明は不要です」など。
・ターゲット読者の指定
「中学生にも分かるように」「ビジネスパーソン向けに」「初心者向けに」など。

プロンプト例

・「あなたはプロのWebライターです。副業を始めたい人向けに、きっかけになるような導入文を300文字以内で、です・ます調で、前向きなトーンで作成してください。」
・「あなたはマーケターです。新しくリリースするオンライン講座のメリットとデメリットを、それぞれ3つずつ、箇条書きで分かりやすくまとめてください。」
・「あなたはカスタマーサポート担当者です。新しいアプリのよくある質問とその回答を、Q&A形式で5つ作成してください。初心者でも理解できるように、難しい専門用語は使わないでください。」
・「下記のアンケート結果を要約してください。特に評価が高い点と、不満・改善要望の点を分けて、それぞれ箇条書きで書いてください。」

4. 第4層:情報(コンテキスト)の提供 – 「何をもとにしてほしいのか」

最後の層は、AIに渡す「材料」です。
AIは、こちらが与えたテキストやデータ、背景情報をもとに出力を作ります。情報が具体的であればあるほど、答えもあなたの状況に合ったものになっていきます。

ポイント

・関連するデータや文書を渡す
作業対象となる文章・アンケート結果・商品情報・URLなど。
・背景情報を伝える
どんな目的で使うのか、誰に向けた内容なのか、どの場面で読むのか(社内向け資料、SNS、プレゼンなど)。
・具体例を示す
「こんな感じの文章にしたい」というサンプルを一緒に渡すと、より近い出力になりやすくなります。

プロンプト例

・「あなたは企業の広報担当者です。新サービスのお知らせ文を作成してください。以下にサービスの詳細を記載します:[サービス名、特徴、料金、開始日、利用方法など]。この情報に基づいて、Webサイトに掲載する告知文を500文字以内、です・ます調で作成してください。」
・「あなたはキャリアコーチです。以下が相談内容です:[相談メール本文]。この内容を踏まえて、相談者を励ます返信文を400文字程度で作成してください。」
・「あなたはカスタマーサポート担当です。以下のよくある質問のリストと、サービスの説明文を参考に、Q&Aページ用の質問と回答を5つ作成してください。[質問リストや説明文を貼り付け]」

プロンプト基本4層構造の組み合わせ例

4つの層はバラバラではなく、組み合わせて使うことで威力を発揮します。

例1:社内向け資料の要約

・タスク(何を)
「社員向けの研修レポートを要約してください。」
・役割(誰として)
「あなたは人事担当者です。」
・制約条件(どのように)
「社内報に掲載できるように、A4用紙1枚程度(1000字以内)で、見出しと箇条書きを交えて分かりやすくまとめてください。専門用語はできるだけ避けて、全社員が理解できるようにしてください。」
・情報(何に基づいて)
「以下に研修レポートの全文を記載します。[ここにレポート本文を貼り付け]」

例2:サービス利用ガイドのQ&A作成

・タスク(何を)
「新しくリリースしたオンラインサービスの使い方に関するQ&Aを作成してください。」
・役割(誰として)
「あなたはカスタマーサポート担当者です。」
・制約条件(どのように)
「公式サイトのFAQページにそのまま掲載できるように、質問と回答の形式で5つ作成してください。回答はできるだけ簡潔にしつつ、不安が残らないように丁寧に説明してください。です・ます調で、初めての人にも分かりやすい言葉遣いにしてください。」
・情報(何に基づいて)
「以下のサービス説明と、これまでにユーザーから多かった質問のリストを参考にしてください。[サービス説明テキスト][よくある質問リスト]」

構造化したプロンプトのひな形

「プロンプトの基本4層構造」をそのまま型にすると、次のように書けます。

# タスク
{{何をしてほしいか(例:要約してください/改善案を3つ出してください)}}

# 役割
あなたは{{どんな立場・職業・専門家(例:マーケター/先生/カスタマーサポート担当)}}です。

# 条件
{{文字数・トーン・形式など(例:200文字以内で/敬語で/初心者にも分かるように)}}

# 情報
「{{背景情報・素材・対象内容など}}」

ひな形に当てはめた例

# タスク
お知らせ文を作成してください。

# 役割
あなたは会社の広報担当者です。

# 条件
初めて利用する人にも分かりやすいように、丁寧な敬語で200文字以内にしてください。

# 情報
7月10日(月)の午前9時〜正午まで、社内システムのメンテナンスのため、一部のオンラインサービスが一時的に利用できなくなります。

まとめ:プロンプトは「AIに話しかける前の思考整理」

「プロンプトの基本4層構造」は、AIに指示を出すためのテクニックであると同時に、私たちが自分の頭の中を整理するためのフレームワークでもあります。

・何をしてほしいのか(タスク)
・誰として答えてほしいのか(役割)
・どんな形でほしいのか(条件)
・何を材料として渡すのか(情報)

この順番で考えることで、曖昧さや抜け漏れが減り、AIから返ってくる答えの質がぐっと上がります。

最初は少し慣れが必要ですが、何度か使っているうちに、
「今日はタスクと役割だけでも指定してみよう」
「もう少し精度を上げたいから、条件と情報も足してみよう」
といった感覚で、自然と4層構造を意識できるようになります。

この4層ひな形をそのままテンプレートとして保存しておき、日々のAI活用に使ってみてください。

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