価値観の棚卸しをするための基本的な考え方
価値観の棚卸しとは、自分が何を大切にして生きているのかを整理し、言葉にしていく作業のことです。人生設計や働き方を考える場面でよく使われる言葉ですが、難しいことをする必要はありません。ここでは、価値観の棚卸しを行うための基本的な考え方を、できるだけシンプルに説明します。
価値観は「立派な言葉」でなくていい
価値観というと、「挑戦」「成長」「社会貢献」といった、きれいで分かりやすい言葉を探そうとしてしまいがちです。しかし、価値観は人に見せるためのものではありません。自分の中でしっくりくるかどうかが最も大切です。「落ち着いて過ごしたい」「無理をしたくない」「気を使いすぎない関係がいい」といった、素朴な言葉でも十分に価値観です。立派さよりも、実感があるかどうかを基準にします。
価値観は「こうありたい」より「こうだった」で見つける
価値観を考えるとき、「こうなりたい自分」から入ると、理想や思い込みが混ざりやすくなります。棚卸しでは、「これまでの人生で、心が動いた場面」や「強く違和感を覚えた場面」を振り返る方が有効です。楽しかった経験、安心できた時間、逆に強いストレスを感じた出来事には、自分の価値観がはっきりと表れています。過去の感情は、価値観を見つけるための重要な手がかりになります。
好き嫌いではなく「疲れるかどうか」に注目する
価値観を探す際に、「好きなこと」「得意なこと」だけに注目すると、うまく言語化できない場合があります。そのときは、「続けていると疲れるかどうか」という視点を持つと整理しやすくなります。長く続けてもあまり疲れないこと、自然体でいられる状態は、自分の価値観と合っている可能性が高いです。逆に、成果が出ていても強く消耗するものは、価値観とズレていることがあります。
正解を一つに絞ろうとしない
価値観の棚卸しがうまくいかない人ほど、「これが自分の本当の価値観だ」と一つに決めようとします。しかし、人の価値観は一つではありません。安心感を大切にしながら、同時に新しさも求めることは矛盾ではありません。場面や時期によって前に出る価値観が変わることも自然なことです。棚卸しは、整理する作業であって、選別して削る作業ではありません。
今の自分を基準にする
価値観は年齢や環境によって変わります。過去に大切にしていた価値観が、今の自分には合わなくなっていることもあります。そのため、「昔はこうだったから」という理由で価値観を固定する必要はありません。棚卸しでは、今の生活や心の状態に照らして考えることが大切です。今の自分が何に安心し、何に負担を感じているかを基準にします。
行動ではなく「判断の基準」を言葉にする
価値観をそのまま行動として書き出そうとすると、表面的になりやすくなります。「早起きをする」「たくさん働く」といった行動の裏には、「余裕を持ちたい」「評価されたい」などの判断基準があります。価値観の棚卸しでは、何をしたかよりも、なぜそう判断したのかに目を向けることで、より本質的な言葉が見えてきます。
矛盾していてもそのまま残す
価値観を言語化していくと、「自由でいたい」と「安定していたい」のように、相反する言葉が並ぶことがあります。しかし、それは間違いではありません。多くの人は矛盾を抱えたまま生きています。棚卸しの段階では、整合性を取ろうとせず、そのまま残すことが大切です。後から状況に応じて、どちらを優先するかを考えれば十分です。
価値観の棚卸しは定期的に行うもの
価値観の棚卸しは、一度やって終わりではありません。環境が変わったときや、違和感を感じたときに、改めて見直すことで意味を持ちます。定期的に行うことで、「今の人生設計は自分に合っているか」を確認しやすくなります。更新されていく前提で向き合うことで、価値観はより現実に即したものになります。
まとめとしての価値観の棚卸し
価値観の棚卸しとは、自分を分析して答えを出す作業ではありません。これまでの経験や感情を丁寧に振り返り、「自分は何に安心し、何に違和感を覚えるのか」を言葉にしていくプロセスです。完璧に整理しようとせず、今の自分をそのまま受け止めることが、価値観の棚卸しを続けるための基本的な考え方です。